松浦理恵子さんはわたしのかなり好きな作家なのですが、
5年前に出版された当作は今でも影響を受けています。
舞台は女子制の高校、<パパ>日夏・<ママ>真汐・<王子>空穂の
家族のように親密な関係ややり取りが、愛・性の触れ合い方に手探りでありながら、
それぞれを想って生き抜く清新な「わたしたち」像を教えてくれます。
ーわたしたちは小さな世界に閉じ込められて粘つく培養液で絡め合わされたまだ何ものでもない生きものの集合体を語るために「わたしたち」という主語を選んでいる
松浦理恵子『最愛の子ども』文藝春秋、2017年